戯言

自社サービスを開発、運営している会社でスクラムマスターをやっている人の戯言です。

スプリントが達成できなかった事を放置すると何が起きるのか

チームはスプリントで「ここまでやります」を決められる人達なので

全てのスプリントバックログは消化しないといけないし、消化されていないということはスプリント失敗ということになります。

ここでスクラムマスターとしては「失敗だよ」ということを切り込んでいかなければならないんですが、なかなか「失敗だよ」とは言いにくいものですね。

しかし、こういった事を言いにくいからと言ってスルーし続けると、何が起きるのでしょうか。

何故スプリントは達成しなければならないのでしょうか。

 

いくつかの問題が起きると思いますが、自分の中では

  • プロダクトオーナーからの信用が下がる
  • 正しい改善活動に結びつかない
  • 今後の計画に支障が出る

と、大きく3つの問題が起きると考えています。

 

プロダクトオーナーからの信用が下がる

これは読んで字のごとくですが、では信用されなくなると何が起きるのでしょうか。

例えばチームの生産性を疑うようになり、強いプレッシャーをかけたり、コマンドコントロールをしだすかもしれません。

プロダクトバックログのメンテナンスを怠るようにもなるかもしれません。

1スプリントで終わるサイズのプロダクトバックログアイテムにする必要性を感じなくなるようになっていきます。

見積もりの内容にも疑問を持つようになるかもしれません。

「なんでこんなに時間がかかるの?」「もっと早く出来るでしょ」などなど。

信用されていないという状態がプラスに働く事はまずありえないでしょう。

スクラムに限らず、全てにおいて言える事だと思いますが。

正しい改善活動に結びつかない

出来ると思っていたスプリントが失敗すると言う事は、何かしらの原因があったはずです。

そこにフォーカスし、正々堂々と掘り下げ、改善していけば良いだけの話なのですが

スプリントが終わらないという状態を放置すると、この「改善のきっかけ」を無駄にすることになります。

時には外部の影響など、チームではどうにもならない事態が起きたのかもしれません。

ですがその「どうにもならない事態」はいつかまたチームに襲いかかります。

その時チームとしてどうしますか?「どうにもならない事態」は、どうすれば「どうにかできる事態」に出来るのでしょうか。

 

今後の計画に支障が出る

これは当たり前の話ですが、リリース予定だったものがリリースできない事になります。

もし、そのタイミングでリリースしなければ意味がないプロダクトバックログだったら・・・。恐ろしいですね。

しかし、もう1つ重要なのは「仕掛かり品」を生産してしまったという事です。

「仕掛かり品」は完成品ではないため、何の価値も持っていません。

そのため、プロダクトオーナーはその「仕掛かり品」を「完成品」に変えるために次のスプリントに入れようとすることが殆どです。

時にはもう既に不要な「仕掛かり品」だったとしても、チームが頑張って作った「仕掛かり品」だからしょうがない。というような義理と人情で「完成品」になり、結果不要な機能が搭載される事もあるかもしれません・・・。

こうして計画はどんどんおかしくなり、破綻への原因になっていきます。

 

というわけで、スクラムマスターは「ダメ」なことに「ダメ」であると伝える事がとても重要な役割です。

心を鬼にし、ゲームの審判のような気持ちで、誠実に、「ダメである事」を伝えましょう。

ただし「終わらせる事」を強すぎるプレッシャーとして与えるのもNGで、例えばテストをサボるようになったりするかもしれません。

このバランスの取り方が腕の見せ所なのでしょうね〜(きっと